令和6年度 展覧会のご案内
入江波光 《若竹と子雀》
入江波光 《若竹と子雀》 1945年頃

「竹の子やその日のうちにひとり立」 千代女



4月6日(土)〜7月7日(日)
  
 四季折々−日本画と俳句−
 

 四季の移り変わりにより気候が大きく異なる日本において古来、春夏秋冬の季節を彩る情景は美術や文学の重要なテーマとされてきました。日本画では掛軸や屏風などを季節ごとに変えて日常空間を彩り、そこに描かれた自然に心を沿わせる習慣があります。また文学では詩歌において季節の描写と心情を絡めて詠みこみ、特に俳句では「季語」という約束ごとを通じて、より季節感が発揮されています。
 本展覧会では2017年に開催した「自然を写す 心を映す〜日本画から一句〜」に続き、季語を主題とする作品や歳時を描いた収蔵作品を展示するとともに、それぞれ作品にふさわしい俳句を併せてご紹介します。
 日本画で表現された情景と添わせた俳句により、絵画と言葉が響きあう鑑賞をお楽しみください。

9月7日(土)〜12月8日(日) 
  
 
所蔵茶道具展 茶室の室礼(しつらい)−歳時と趣向−


  散蓮華蒔絵錫縁経箱
 呂宋茶壺
  散蓮華文蒔絵錫縁経箱 
    呂宋茶壺 
 茶会や茶事の楽しみのひとつに道具の取り合わせがあります。茶会を演出する茶道具は、装飾された文様や、筒状や口が開いた形の違いから季節感を表しますが、端午や重陽などの節句、また観桜や観月など限られた時節に合わせて道具を整えることもあります。
さらに新年を寿ぐ初釜や長寿の祝い、新席披露のほか亡き人を偲ぶ追善供養など折々の趣向で茶会は催されそれぞれにふさわしい道具が用いられます。
 秋の茶道具展では、こうした茶会の主旨や季節に因んだ趣向のほか、小間や広間、野点など場所に応じて変化する道具の取り合わせを行います。さらに、新茶が詰められた茶壺の封を切る「口切の茶」で席中に飾る茶壺や、初釜の席で邪気を祓う魔除けとして床に飾る訶梨勒
(かりろく)など、点前道具だけでなく想定した茶会に適した飾りつけの道具や調度品もご覧いただきます。
 茶会を催す亭主の視点で、また招かれた客の気分でお楽しみください。

令和7年 1月9日(木)〜2月9日(日)
 
 
新春展 愛知ゆかりの絵画と工芸 −藤井達吉を中心に−  
 
藤井達吉 《日光の奥》
平澤九朗 《織部向付》  
 藤井達吉 《日光の奥》  平澤九朗 《織部向付》 江戸後期 

 明治になると名古屋を中心とした県西部の尾張国と東部の三河国が合併し、愛知県となりました。瀬戸、常滑は古くからやきものの産地として知られ、特に瀬戸は鎌倉から室町時代にかけて唯一、灰釉や鉄釉などの施釉陶器を産した製陶の中心地で、衰退した時期もありましたが、ともに現在も多くの陶芸家が創作しています。絵画では名古屋城の障壁画制作の折、中央から狩野派の絵師が招かれるとともに、尾張藩でも御用絵師が登用され、江戸後期には職業画家に加え、藩士や町人階層から、さらに明治以降も愛知県出身の画家を数多く輩出しました。
 新春展では、1階展示室にて江戸時代の俳人・横井也有の俳画や、尾張南画を代表する中林竹洞の山水画に加え、杉本健吉や平川敏夫など現代に至る画家の作品をご覧いただきます。2階では江戸時代後期に始まった新製焼と呼ばれる瀬戸染付や、尾張藩士で茶事を好み作陶に長じた平澤九郎、近世瀬戸の名工と称された加藤春岱など江戸後期以降から現代までの陶磁器を展示します。
 また碧海郡(現・碧南市)に生まれ、明治末から大正にかけて前衛的な工芸家として活躍するも、やがて中央から離れ孤高の芸術家として創作した藤井達吉の日本画や漆絵、継色紙、陶芸作品も併せてご覧ください。



*参加型ギャラリートークのご案内 

 絵画を見る楽しみは人それぞれです。しかし「絵の楽しみ方って?」「私の見方は正しいの?」などの思いを抱きながら、美術館で絵画作品に向かい合っていることはありませんか。また作品と向き合っても美術館側が提供するパネルや音声の解説を作品に照らし合わせて確認しているだけで、自分だけの感性で鑑賞してみたいと思いませんか。
 当館でのギャラリートークは、学芸員自身が上記のような絵画鑑賞への疑問や不満を解消できないかとの思いから毎年開催しています。まずは予備知識を持たず作品をじっくり見て、好きか嫌いか、なぜそう思うのかを参加された方々に尋ねることからからトークが始まります。他者の意見や感想からは、共感したり異なる感性に驚いたりと新たな解釈に触れる楽しみもあります。最後にトークの総括として、作品の背景や作者について学芸員が説明しますが、参加者が何気なく感じたことが作品の本質に迫ることもあります。気楽におしゃべりを楽しみながらご一緒に作品を鑑賞しませんか。
ギャラリートーク
ギャラリートーク 茶道具 *参加型ギャラリートーク (茶道具展) 

 茶道具は自由な解釈は難しいと思いギャラリートークは実施していませんでしたが、「ぜひ茶道具展でも」というご要望があり2016年から始めました。
 しかし単に説明を聞くだけの受け身ではツマラナイ、ということで参加された方にも発言を促すような問いかけを行い、絵画展のように気楽な雰囲気で会話を通じて作品の見所などを皆様とともに探ってみました。時代を経て伝えらえた茶道具には、茶の湯の歴史や流行によって好みが変化するものや、一貫するもの、また過去の茶人によって愛蔵されたものなど多くのことを語りかけてくれます。
 皆様と共にそれらの声を引き出し耳を傾ける機会になれば幸いです。

*フラワーアレンジメント教室のご案内

〔日 時〕 毎週水曜日  
        午前の部:11時〜12時30分  
        午後の部:1時30分〜3時

〔場 所〕 桑山美術館 別館1階多目的ホール

※入会金は無料です
自由参加制につき都合に合わせてご参加できます
フラワーアレンジメント作品  フラワーアレンジメント作品
受講生作品(2007年3月7日) 受講生作品(2007年3月14日)

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